白衣の歴史と近時の傾向とは

看護師というと白衣に身を包んで仕事をするというイメージが強いですが、歴史をさかのぼってみるとこの白衣の歴史は意外と長くないことが分かりました。中世のヨーロッパでは尼僧が看護を手掛けるケースが多かったため、長らく看護師の服装というと彼女たちが着用する長いローブというのが定番でした。これが変わってきたのが19世紀後半のころだといわれています。クリミア戦争に従軍したナイチンゲールのように白いエプロン姿で看護に従事する者が増えてきたのです。同時期に日本でも看護師の要請が本格的にスタートしたのですが、現在のようなワンピーススタイルの白衣が導入されるようになったのは、第二次世界大戦中のことです。

その後、戦後になって保健衛生法・環境衛生法が制定され、清潔な白衣の着用が義務付けられたことによって、それ以降は白衣が看護師の服装となったのです。高度成長期を経てファッションを楽しむという文化が定着すると、それに合わせて白衣も徐々に進化を遂げていきます。1970年代にはパンツスーツの白衣が登場し、1990年代になると海外から入ってきたカラフルで実用的なスクラブを着用する看護師が増えていきました。近年ではより機能性が重視される傾向が強まっており、新たに開発された動きやすくて丈夫な収縮性のある生地が用いられるようになったり、人目を気にせずに仕事に集中できるよう透けにくい生地が使われている白衣などが人気を集めています。このように、白衣の歴史を知ればその時々の看護師の置かれた環境が見えてくるでしょう。